株主の皆さまへ
株主の皆さまには、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
2024年3月27日付で、代表取締役兼社長執行役員に就任いたしました山下信典でございます。
株主の皆さまのご期待に応えるべく全力を尽くしてまいります。
藤田観光株式会社 代表取締役兼社長執行役員
山下 信典
- 2023年について
- 「中期経営計画2028 Shine for Tomorrow, to THE FUTURE」について
2023年について
2023年は、各事業において商品力向上を進めたことに加え、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行したことによる国内需要の回復、インバウンド需要の活性化といった環境改善を受け、宿泊部門を中心に消費単価、稼働率(数)が前期比で大きく伸長いたしました。
WHG事業においては、朝食を中心とした付加価値の向上やインバウンド需要の獲得などにより、東京都内施設を中心に客室平均単価、稼働率が大きく上昇し、業績を牽引いたしました。
ラグジュアリー&バンケット事業においては、ホテル椿山荘東京にて、山縣有朋公築庭145周年を機に見どころを「令和新十二景」として整備した庭園、新たな庭園演出など、ホテルがもつ資産・施設価値を付加させた宿泊プランが支持され、客室平均単価の向上につながりました。
リゾート事業においては、7月12日箱根ホテル小涌園が開業いたしました。箱根小涌園ユネッサンでは流れるプールを新設するなど、大規模リニューアルも同時期に実施し、既存施設を含めた箱根小涌園エリア一体の魅力を向上させることで、ターゲットとなるファミリー層を中心に多くのお客さまにご利用をいただき、順調な滑り出しとなりました。
これらの結果、当社グループ全体の売上高は前期比207億円増収の645億円、営業利益は前期比106億円増益の66億円、経常利益は前期比115億円増益の70億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、ホテル鳥羽小涌園跡地の売却による特別利益を計上したことなどにより、81億円となりました。なお、コロナ禍に推進した構造改革の成果もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は333億円の固定資産売却益(特別利益)を計上した2021年に次ぎ過去最高水準となりました。
また、2021年9月28日に発行したA種優先株式150株のうち、50株を2023年12月22日に償還(取得及び消却)いたしました。
2024年には通期で売上高687億円、営業利益60億円、経常利益58億円の計画となっております。WHG事業を中心に客室平均単価の上昇を見込む一方で、人件費などの上昇やコロナ禍に抑制していた投資の再開を織り込んでいるため、前年比増収減益計画ではありますが、「中期経営計画2028」の初年度につき、確実に達成し次年度以降につなげていきたいと考えております。
「中期経営計画2028 Shine for Tomorrow, to THE FUTURE」について
コロナ禍に推進した構造改革効果もあり、収益性が高まった一方、中長期な課題として、外部要因にも揺るがない基盤を構築する重要性や、当社の事業を担う人材の確保と育成を進める必要性を強く認識しております。このような状況を踏まえ、長期ビジョンの実現に向けた、2024年から2028年までの5ヵ年の中期経営計画を策定いたしました。
スローガン「Shine for Tomorrow, to THE FUTURE」のもと、重要課題である「環境に左右されない持続的成長基盤確立」「人材の確保・育成」「健全な財務基盤構築」に対応するため、5つの戦略「事業戦略」「人材戦略」「財務戦略」「サステナビリティ戦略」「成長戦略」に取り組みます。
○環境に左右されない持続的成長基盤確立
ラグジュアリー&バンケット事業及びリゾート事業の既存施設の収益力強化等により、WHG事業に偏重した収益バランスを是正するとともに、新規事業の創出にも取り組んでまいります。また、WHG事業の新規出店については、賃借物件に限定せず資産取得、フランチャイズ、マネジメントコントラクトなど、出店形態の多様化を図り、固定賃料比率の引き下げを進めてまいります。
○人材の確保・育成
国内労働人口の減少と急激な宿泊需要の回復に伴う人手不足への対応は喫緊の課題であり、採用強化と教育強化を両軸として人材確保と育成に取り組んでまいります。マネジメント人材や専門人材を安定的に採用するための手法と労働環境を整備するとともに、新人事制度の定着やシステムを活用した適切な人材配置と育成を行い、人材を定着させることにより、組織力の強化に努めます。
○健全な財務基盤構築
大幅に向上した収益力を維持すべく、収益拡大に資する投資は積極的に実施したうえで、資本の増強と優先株式の早期償還の両立を図ります。
5ヵ年の計画期間の前半3年を「基盤構築フェーズ」と位置づけ、事業ごとの個別課題へ着手しながら、人材への投資や付加価値・生産性の向上に取り組むと同時に、自己資本比率25%を維持しながら財務基盤の構築を目指します。後半2年は「収益拡大フェーズ」と位置づけ、最終年度となる2028年には、WHG事業やリゾート事業における拠点拡大、ホテル椿山荘東京の業績向上、新規事業の立ち上げを目指すと同時に、自己資本比率の向上を目指してまいります。
収益性を図る指標として、売上高・営業利益・営業利益率・ROEを設定し、それぞれ800億円・80億円・利益率10%・優先株式償還後のROE10%以上維持を計画しております。設備投資については、2023年度実績は52億円でしたが、営業キャッシュ・フローの範囲内に抑えながら、2028年度までの5年累計で350億円規模の投資を計画しております。優先株式の償還や有利子負債の削減を進めながら内部留保を増加させ、計画期間中の自己資本比率を25%以上に維持するため、財務の安定性を適切に管理してまいります。(中期経営計画2028の詳細はP.5~6をご覧ください。)
コロナ禍で多くの困難を乗り越えた経験を貴重な財産としながら、中期経営計画を着実に実行し、皆さまのご期待に添えるように取り組んでまいります。株主の皆さまにおかれましては、今後も変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。